COMMENTSコメント

中島孝

原発事故の後、避難という行動をめぐり人々は3つに割れた。「賠償がいっぱいもらえて、あんたらはいいね」――強制避難区域の被害者が避難先での住民の言葉に怯える。子どもを守ろうと沖縄に「自主的」母子避難をし、夫婦が離婚する。他方、お金がなくてそのふがいなさのせいで、子や孫を一時避難もさせられなかったと自分を責める人すらも。
放射能を恐れる思いにも、避難できないのならここで生きるしかないと覚悟する心細さや生活苦に背を向け、再稼働の邪魔だとばかりに幕を引き被害救済を打ち切る政府と東電。
分断を仕掛ける側の不純な動機が強まればそれだけ、それに立ち向かう私たちの力も鍛えられ強くなる。